秋ですね  2013/10/15(火)

 お前共通テーマ記事も書かずに何やってたんだと聞かれれば何もやってませんでしたと答えるしかないのですが、それはそれとして秋ですね。

 相変わらず暇なので、僕は街中を散歩していました。肌に当たる風が冷たくて、ああ夏は終わってしまったのだな、と改めて実感します。
 一抹の寂しさを覚えずにはいられませんが、秋は秋で別の楽しみがあるのです。僕は、地元の観光名所でもある、市の名前を冠した公園へ足を運びました。
 その公園の見所と言えば桜。桜イコール春、花見だと考えてる人が多いかもしれませんが、ひっそりと赤や黄色に葉を染める、秋の桜もオツなものなのです。
 しかし、いざ公園についてみると、並木道の木々には、緑色にほんのちょっとだけ赤が混ざっているだけで、まだまだ時期が早いようでした。紅葉に染まりきってからでは見れないコントラストなのも事実ですけれど、やっぱり期待していたのは鮮やかな赤と黄色なのです。
 僕はこれはこれで風情があると感じ入るべきなのか、半端な事やってんじゃねぇぞクソがと木を燃やすべきなのか悩みました。
 でも考えてみるに賛否両論が並ぶときって否の感情を無視できないからそうなるんであって、ようし後者だなと松明を手にした僕は全力投擲、葉はすべて赤く燃え上がります。
 火はあっという間に隣の木々へ燃え移り、炎になって公園全体を覆うと、街の至るところに手を伸ばします。



 勢いを増す炎は、僕の住む地方都市を包み、北海道を包み、日本列島を包み、世界を包み、地球を包み、そして宇宙を包みました。
 燃え盛る火の玉になった宇宙は、長い歴史のなかで発生したあらゆるものが灰と化し、すべては蒸発して無に還りました。
 空間や時間の概念までも喰らい尽くした炎が、最後に自分自身を飲み込むと、何もかもが消え、ただ混沌のみが残りました。
 地は形なく、闇が淵のおもてにあり、神の霊が水のおもてを覆っていたのです。




 僕は言いました。「光あれ」 すると光がありました。
 僕は光と闇を分けると、光を昼と呼び、闇を夜と呼びました。これが第一日です。

 僕はまた言いました。「水の間に大空あれ。水と水とを分けよ」そのようになりました。
 僕は大空を造り、大空の上の水と下の水を分けると、大空を天と呼びました。これが第二日です。

 僕はまた言いました。「天の下の水は一つ所に集まり、乾いた地が現れよ」 そのようになりました。
 僕は乾いた地を陸と呼び、水の集まった所を海と呼びました。
 僕は続けて言いました。「地は青草と、種をもつ草と、種類にしたがって実を結ぶ果樹を地の上に芽生えさせよ」 そのようになりました。
 地は青草と、種をもつ草と、種類にしたがって実を結ぶ果樹を地の上に芽生えさせました。これが第三日です。

 僕はまた言いました。「天の大空に光る物があって、昼夜を分け、季節のしるし、日や年のしるしとなれ。天の大空に光る物があって、地を照らせ」そのようになりました。
 僕は二つ光を造り、大きい方に昼を、小さい方に夜を司らせ、また星を造りました。これが第四日です。

 僕はまた言いました。「水は生き物の群れで満ち、鳥は地の上、天の大空を飛べ」
 僕は海の獣と、水に群がる生き物、また翼のある鳥を、種類にしたがって造りました。
 僕はこれらを祝福して言いました。「産めよ、増えよ、海たる水に満ちよ、また鳥は地に増えよ」 これが第五日です。

 僕は言いました。「地は、それぞれの生き物を産み出せ。家畜、這うもの、地の獣をそれぞれに産み出せ。」 そのようになりました。
 僕は続けて言いました。「我々にかたどり、我々に似せて、人を造ろう。そして海の魚、空の鳥、家畜、地の獣、地を這うもの全てを支配させよう」
 僕は自分にかたどって人を造り、男と女に造りました。
 僕は彼らを祝福して言いました。「産めよ、増えよ、地に満ちよ、地を従わせよ。また海の魚と、空の鳥と、地に動くすべての生き物とを治めよ」
 僕は続けて言いました。「わたしは全地のおもてにある種をもつすべての草と、種のある実を結ぶすべての木とをあなたがたに与える。これはあなたがたの食物となるであろう。また地のすべての獣、空のすべての鳥、地を這うすべてのもの、すなわち命あるものには、食物としてすべての青草を与える」そのようになりました。
 僕は造った全ての物を見ました。最高にクソでした。これが第六日です。

 こうして天地と、その万象が完成しました。
 僕は第七日目に作業を終えたので、これを聖別しました。
 僕がこの日に、その全ての創造の技を終って休んだからです。


 それから、本当に、本当に途方もない時間が流れました。
 いくつもの文明が栄華を誇り、脆くも崩れ、命が産まれては散っていく。積み重なった屍を土台にして、人間は天まで届く塔を造ります。いずれ雷が落ちることを知りながら……。
 戦争、差別、社会の腐敗……人間は何故、同じ過ちを繰り返してしまうのでしょうか? 誰も答えてはくれません。
 そしてある夜、歴史の転換点となる、ひとりの男がこの世に生を受けます。彼は大工の息子であると同時に、僕の息子でもありました。
 彼は愛を持って教えを説きました。彼の口から通して出る言葉は人々を救い、彼の腕は多くの奇跡を起こしました。
 後の人々は彼を崇め、彼の生まれた翌年を元年として「西暦」という新しい暦で生きることを決めたのです。西暦は世界に広がり、基準となりました。
 暦が変われども人は変わらず。矛盾を孕んだまま駆け巡る歴史は、西暦2013年10月15日のある夕方へと辿り着きます。
 



 相変わらず暇なので、僕は街中を散歩していました。肌に当たる風が冷たくて、ああ夏は終わってしまったのだな、と改めて実感します。
 一抹の寂しさを覚えずにはいられませんが、秋は秋で別の楽しみがあるのです。僕は、地元の観光名所でもある、市の名前を冠した公園へ足を運びました。
 その公園の見所と言えば桜。桜イコール春、花見だと考えてる人が多いかもしれませんが、ひっそりと赤や黄色に葉を染める、秋の桜もオツなものなのです。
 しかし、いざ公園についてみると、並木道の木々には、緑色にほんのちょっとだけ赤が混ざっているだけで、まだまだ時期が早いようでした。紅葉に染まりきってからでは見れないコントラストなのも事実ですけれど、やっぱり期待していたのは鮮やかな赤と黄色なのです。
 僕はこれはこれで風情があると感じ入るべきなのか、半端な事やってんじゃねぇぞクソがと木を燃やすべきなのか悩みました。
 でも考えてみるに賛否両論が並ぶときって否の感情を無視できないからそうなるんであって、ようし後者だなと松明を手にした僕は全力投擲、葉はすべて赤く燃え上がります。
 火はあっという間に隣の木々へ燃え移り、炎になって公園全体を覆うと、街の至るところに手を伸ばします。



 勢いを増す炎は、僕の住む地方都市を包み、北海道を包み、日本列島を包み、世界を包み、地球を包み、そして宇宙を包みました。
 燃え盛る火の玉になった宇宙は、長い歴史のなかで発生したあらゆるものが灰と化し、すべては蒸発して無に還りました。
 空間や時間の概念までも喰らい尽くした炎が、最後に自分自身を飲み込むと、何もかもが消え、ただ混沌のみが残りました。
 地は形なく、闇が淵のおもてにあり、神の霊が水のおもてを覆っていたのです。




 僕は言いました。「光あれ」 すると光がありました。
 僕は光と闇を分けると、光を昼と呼び、闇を夜と呼びました。これが第一日です。

 僕はまた言いました。「水の間に大空あれ。水と水とを分けよ」そのようになりました。
 僕は大空を造り、大空の上の水と下の水を分けると、大空を天と呼びました。これが第二日です。

 僕はまた言いました。「天の下の水は一つ所に集まり、乾いた地が現れよ」 そのようになりました。
 僕は乾いた地を陸と呼び、水の集まった所を海と呼びました。
 僕は続けて言いました。「地は青草と、種をもつ草と、種類にしたがって実を結ぶ果樹を地の上に芽生えさせよ」 そのようになりました。
 地は青草と、種をもつ草と、種類にしたがって実を結ぶ果樹を地の上に芽生えさせました。これが第三日です。

 僕はまた言いました。「天の大空に光る物があって、昼夜を分け、季節のしるし、日や年のしるしとなれ。天の大空に光る物があって、地を照らせ」そのようになりました。
 僕は二つ光を造り、大きい方に昼を、小さい方に夜を司らせ、また星を造りました。これが第四日です。

 僕はまた言いました。「水は生き物の群れで満ち、鳥は地の上、天の大空を飛べ」
 僕は海の獣と、水に群がる生き物、また翼のある鳥を、種類にしたがって造りました。
 僕はこれらを祝福して言いました。「産めよ、増えよ、海たる水に満ちよ、また鳥は地に増えよ」 これが第五日です。

 僕は言いました。「地は、それぞれの生き物を産み出せ。家畜、這うもの、地の獣をそれぞれに産み出せ。」 そのようになりました。
 僕は続けて言いました。「我々にかたどり、我々に似せて、人を造ろう。そして海の魚、空の鳥、家畜、地の獣、地を這うもの全てを支配させよう」
 僕は自分にかたどって人を造り、男と女に造りました。
 僕は彼らを祝福して言いました。「産めよ、増えよ、地に満ちよ、地を従わせよ。また海の魚と、空の鳥と、地に動くすべての生き物とを治めよ」
 僕は続けて言いました。「わたしは全地のおもてにある種をもつすべての草と、種のある実を結ぶすべての木とをあなたがたに与える。これはあなたがたの食物となるであろう。また地のすべての獣、空のすべての鳥、地を這うすべてのもの、すなわち命あるものには、食物としてすべての青草を与える」そのようになりました。
 僕は造った全ての物を見ました。最高にクソでした。これが第六日です。

 こうして天地と、その万象が完成しました。
 僕は第七日目に作業を終えたので、これを聖別しました。
 僕がこの日に、その全ての創造の技を終って休んだからです。


 それから、本当に、本当に途方もない時間が流れました。
 いくつもの文明が栄華を誇り、脆くも崩れ、命が産まれては散っていく。積み重なった屍を土台にして、人間は天まで届く塔を造ります。いずれ雷が落ちることを知りながら……。
 戦争、差別、社会の腐敗……人間は何故、同じ過ちを繰り返してしまうのでしょうか? 誰も答えてはくれません。
 そしてある夜、歴史の転換点となる、ひとりの男がこの世に生を受けます。彼は大工の息子であると同時に、僕の息子でもありました。
 彼は愛を持って教えを説きました。彼の口から通して出る言葉は人々を救い、彼の腕は多くの奇跡を起こしました。
 後の人々は彼を崇め、彼の生まれた翌年を元年として「西暦」という新しい暦で生きることを決めたのです。西暦は世界に広がり、基準となりました。
 暦が変われども人は変わらず。矛盾を孕んだまま駆け巡る歴史は、西暦2013年10月15日のある夕方へと辿り着きます。




 相変わらず暇なので、僕は街中を散歩していました。肌に当たる風が冷たくて、ああ夏は終わってしまったのだな、と改めて実感します。
 一抹の寂しさを覚えずには



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